2025/04/06 23:09

10年くらい前の朝。
場所は千葉の海岸だったと思う。

波打ち際の少し奥、
引いたばかりの潮が残した跡を見ていると、毎回ちがう模様ができていた。
その変化が面白くて、しばらくのあいだ、こういうのばっかり撮っていた。

二度と同じ形にはならない。
風、水、光——全部が少しずつ違ってて、次の瞬間にはもう別の模様ができている。
その一瞬だけの“かたち”が、妙に気になっていた。

この日も、たぶん1000枚くらい撮っている。
その中で「なんとなく、これいいかもな」と思った数枚のうちの一枚。

モノクロで撮っているのは、色がいらないと思ったから。
色よりも、形とか、フォルムの方が大事だった。
輪郭がどう出るか、光の入り方でどこが立ち上がって見えるか、そういう部分に集中したかった。

見返すと、やっぱりきれいだなと思う。
理由はあまり説明できないけれど、撮っていた頃の感覚だけは、なんとなく思い出せる。